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2009年10月28日 (水)

三浦綾子100の遺言

『三浦綾子100の遺言』(いのちのことば社 フォレストブックス 込堂一博著)という本が刊行されました。三浦綾子の遺言のその58番目です。

58 死の現実を直視して生きる
 死を自分のこととして真剣に考えることは、生きることを真剣に考えることでもある。とにかく死は公平に誰の上にも来る。わたしはそのことを銘記して生きて行こう。『北国日記』

 私たち人間は、「自分が死ぬ」という考えを最も嫌います。人間、誰でもやがて死すべき存在とわかってはいても、できるだけ死を考えないようにして生きています。そしてあたかも、自分は死とは関係ないと錯覚しています。けれども、自分の死を真剣に考えている人もいます。大阪・高槻市在住の中学校教師・川添英一さんの短歌に次のようなものがあります。
  焼香の順に並べど明らかな死の順番が何処かにかある
 何度か葬儀に参列しますと、亡くなった故人と、生きて参列している人々との間には、大いなる違いがあるように感じることがあります。しかし川添さんは、死の現実から自分も決して逃げ出すことができないということをしっかりと見据えています。もう二つ短歌を。
  突き詰めて思えば生も死も全てあっという間の過去となりゆく
  人の死に遭えば自分に残された月日が鼓動を持ちて迫り来
 私たちは、死の現実をしっかりと考え、そこから、死に打ち勝って復活されたイエス・キリストに出会い、死の先にある神の御国である天国への希望に生きていくことができれば、こんなに幸せなことはありません。
 天国への希望に生きているならば、どんな状況の中でも生きる力と大きな喜びが与えられます。

  その本の122頁と123頁に書いてある文章を抜き出しました。
 そして、びっくりしました。これは、徒然草の吉田兼好も読んでいた(徒然草第98段)『一言放談』の中にもある、聖光上人の言葉、
 
 聖光上人云、八方法門は死の一字を説く。然らば則ち、死を忘れざれば、八方法門を自然に心得たるものにてある也。(聖光上人は、八万四千というほど多くある釈尊の教えにしても、死の一字を説いているのです。そうであれば、死を忘れなければ、自然に仏の教えを身につけた者となるのです。とおっしゃられた。)[現代語訳は『死のエピグラム―一言放談を読む』 大橋俊雄訳吉本隆明解説 から]

にぴったりの言葉でもあります。込堂一博さんはキリスト教の牧師さんですが、キリスト教も浄土宗も同じです。吉祥寺の青柳俊文師は、山の上まで行くのに、いろんな登り道があるように、いろんな宗教があるけれども、行き着く先は一緒だ、と言われましたが、まさに、ここに生きていく上での大きな根本があるような気がします。取り敢えず、今日は本の紹介まで。

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コメント

「三浦綾子100の遺言」のご注文、またご紹介を心から感謝申し上げます。予想を超えて全国で多くの方々に読まれ、早くも3刷りとのことで驚いています。川添さんの短歌も引用させていただき、全国の多くの方々の心に届くことを覚えます。ありがとうございました。私の名前は良く間違われるのですが辻堂ではなく、込堂です。よろしくお願いいたします。ますますのご活躍をお祈りしつつ。

投稿: 込堂一博 | 2009年10月30日 (金) 21時43分

込堂さん、コメント有り難う御座います。早速、訂正しました。分かっていた筈なのに、本当にもう歳なのかなと、ちょっと自分に呆れました。それでも、何とか頑張っていきたいと思っています。本当に有り難う御座いました。

投稿: 川添 英一 | 2009年10月30日 (金) 21時56分

早速名前修正して下さり感謝です。この本ができて直ぐ鳩山総理(就任直前でしたが)に贈呈しました。しばらくしてお礼の返事がありびっくりしました。このブログで吉永小百合さんから川添さんへ直筆の返事があったとのこと、これも驚きです。今後愚かな戦争を繰り返さないためにも、私の小さな本を各界の著名人に贈呈することを呼びかけています。吉永小百合さんにも是非読んでいただきたいです。今週7日、旭川で9条の会の憲法セミナーがあり大江健三郎氏が講師です。平和を求めること大です。お元気で、込堂(^_^.)

投稿: 込堂一博 | 2009年11月 3日 (火) 15時57分

自分の納得する良いものを作っていきたい、それだけです。若いときは色々と期待に胸を膨らませながらやっていたこともありましたが、今は淡々としています。自分の中で自然に湧きだしてくる感情や思想をこれからも大切にしていきたいです。流氷記も休刊のままだし、創作の部分も失わないように気をつけていきたいです。込堂さん、いつもお見守りいただき有り難うございます。

投稿: 川添 英一 | 2009年11月 3日 (火) 23時12分

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