« 貧乏名人 | トップページ | ゆったりと編集中です »

2006年3月19日 (日)

塔三月号届く

気がついたら塔の三月号が届いていました。全く塔に対して興味が失せていましたが、今日慌てて六月号用の歌稿を速達で送りました。一応あと半年分の会費も明日送るつもり。三月号のための歌稿もここに印します。☆印が採られた歌です。真中朋久選でしたね。
テレビにて騒ぐグルメと多発する癌と関わりなしと思えず
☆限りなく深く青めく秋の空われはほどけていきそうになる
風吹けば高く黄色き帆となりてイチョウは午後の日を浴びて立つ
温かく優しき言葉かけてくる生徒に今日は救われている
DVの過去と戦う心らし生徒汚くののしりながら
奥山の紅葉踏み分け迷いいる風となりしか親しき人も
☆今日一日上を向くことなかりしか筋雲染めて秋の夕暮れ
窓昏れて冷えびえ坐る霜月の平成十七年も暮れゆく
☆熟し柿色の桜の葉が幾つ残りて夕べの闇が迫り来
☆安威川を渡る明るい蛇が見え電車も川面も物語めく

|

« 貧乏名人 | トップページ | ゆったりと編集中です »

コメント

 「奥山の紅葉踏み分け迷いいる風となりしか親しき人も」とは、なかなか意味深な作品です。
 若気の至りとは言え、あの方が、「歌会始の儀」に批判的な意見を述べていきまいていたのは、私の記憶するところでは、ついこの間という感じです。そんなお方が、今では「歌会始の儀」の選者様として、松の内の皇居宮殿○○の間に雁首を曝している、といった体たらく。ましてそのお方が、「親しき人」であったとしたら、作者としては、不掲載覚悟で、つい愚痴っぽい歌も詠んでしまおう、というところでしょうか。
 と、これまでは、三句目の「迷いいる」に着目して、前記の佳作を思いっきり曲解してみました。
 しかし、前述の私の解釈は、程度を越えたき曲解であしょう。
 思うに、「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋はかなしき」を本歌とした、この本歌取りの真意は、今となっては 黄泉路を踏み分けるばかりの人となってしまった、作者にとって親しい方々に対する挽歌といったところでしょうか。
 本当に、この数年間に、川添さんにとってかけがえの無い方々が、次々にお亡くなりになりましたね。
 今日は彼岸の中日。私の家でも牡丹餅を作って、お墓参りをして来ました。

投稿: G | 2006年3月21日 (火) 16時22分

お読みいただきありがとうございます。「奥山の紅葉踏み分け迷い入る妹を求めん行方知らずも」にあるように、紅葉の森は死者の迷う森でもあります。そういう思いで紅葉を見ています。どうかRさん、匿名でなく、本名でお付き合いがしたいですね。文庫本や個人誌の流氷記も読んでいただきたいものです。ありがとうございました。

投稿: 川添英一 | 2006年3月21日 (火) 20時50分

 テレビにて騒ぐグルメと多発する癌と関わりなしと思えず
 「はい、そうですか。私もそう思いますよ」としか言えない歌。

☆限りなく深く青めく秋の空われはほどけていきそうになる
 上の句はやや平凡であるが、「われはほどけていきそうになる」という下の句は、作者としても確信を持っての表現だと思われる。佳作。

 風吹けば高く黄色き帆となりてイチョウは午後の日を浴びて立つ
 秋風を受けて一方向に靡く公孫樹全体を「黄色き帆」と見立てた発想は、必ずしも平凡ではない。然るに、これを掲載しなかったのは、選者が作者の力量を知悉しているからであろうか。落選やむなしか?

 温かく優しき言葉かけてくる生徒に今日は救われている
 発想も心情も平凡。生徒のかける言葉ひとつで救われたり沈んだりする教師はまだまだ。

 DVの過去と戦う心らし生徒汚くののしりながら
 部外者には理解不能な内容かと思われる。
乞う、解説。

☆今日一日上を向くことなかりしか筋雲染めて秋の夕暮れ
 上の句の句末の「しか」が、「し(<き>の連体形)」+「か(疑問の係助詞)」なのか、「しか(<き>の已然形)」なのか、やや曖昧である。
川添さんのこの程度の作品を掲載するようでは、「短歌人」も真中朋久も駄目。川添さんが元編集者であろうと、何であろうと、この程度の歌は没にすべきだ。

窓昏れて冷えびえ坐る霜月の平成十七年も暮れゆく
 「霜月の平成十七年も暮れゆく」はないでしょう。没が当然。

☆熟し柿色の桜の葉が幾つ残りて夕べの闇が迫り来
 紅葉した「桜の葉」の色を、「熟し柿色」としたのは、どうであろうか。また、「幾つ残りて」は曖昧な表現。歌人の多くは、慣用的にこうした表現をするが、避けたほうが無難。

☆安威川を渡る明るい蛇が見え電車も川面も物語めく
 大阪に「安威川」という川があったんですね。昨今は、ダム建設の是非を巡って大騒ぎのようですが。
 「ダム建設反対運動」という最も今日的な話題で注目されている川を、神話的、物語的な川として再生させた傑作。上手い。脱帽。

投稿: G | 2006年3月23日 (木) 16時05分

丁寧に読んでくださって有り難うございます。歌壇とは没交渉のせいか、僕にも分からないことがたくさんあります。そういうふうに見ていくんだな、と参考になります。有り難うございました。

投稿: 川添英一 | 2006年3月23日 (木) 19時30分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 塔三月号届く:

« 貧乏名人 | トップページ | ゆったりと編集中です »